僕は次に取るべき行動を考えていた・・そして・・



「レナさん、今後の事や・・ユウナさんの事も兼ね
　て２人っきりでお話されてはどうですか・・？
　僕は邪魔にならないように市内でも観光していま
　す・・。２、３日かかっても構いませんし僕に手
　伝える事があればご連絡頂ければ何でもやります
　よ(^^)」



「・・でも・・」



「まず何よりも・・ユウナさんのお葬式や埋葬する
　場所を決めなければいけません、辛いですがこれ
　は大事な事です・・」



「・・ぅん・・」



「お母さんも・・それで良いですね？」



「・・は、はい・・」



「では何かあった時の連絡用に僕の携帯番号を・・
　僕の事は気にせずゆっくりお話して下さい、
　レナさんの止まっていた時計を・・動かすため
　にも・・」



「・・わかりました、ありがとうございます・・」



「じゃあレナさん、その辺でゆっくり出来る所を探し
　ましょう・・。」



程なくして僕達はレストランを見つけ、レナと洋子
さんを２人っきりにさせた



「じゃあレナさん、僕は行きます・・親子水入らず
　でゆっくりお話して下さい・・」



「ぅん・・でも・・」



「大丈夫ですよ、元々僕は麻雀打ちでカプセルを転々
　とする生活には慣れてますから（笑）
　もし長く滞在する事になったらご連絡して下さい。」



「ぅん・・ありがとうカイちゃん・・」



こうして僕は１人レストランを後にした、おそらく
これが僕に出来る最良の行動だったと思う・・。



僕は全く土地勘の無い所を歩きながら自分の事を
誇らしく思っていた・・偶然とは言え将棋で培っ
た記憶力を活かしレナの母親を見つけた事は偉業
であったと当時の僕は感慨にふけっていたのである・・。





しかし今思い返してみればこの日が僕の人生の
１つのターニングポイントだったと思う・・




レナにとっては母親が見つかり天涯孤独から解放
された・・それが１番良い事だとは分かっている・・



しかし僕がもしレナの母親を見過ごしていたとし
たら・・また違った人生を・・自分は歩んでいた
のかも知れない・・




・・だが今になってこんな事を考えても仕方が無
い、人生とはこのような分岐点を幾つも通って行
き成り立つ物、過去を振り返り過ぎるのは栓無き
事である。





そこからはレナからの連絡を待ちながらスロット
で稼いで行く放浪の旅となった・・



しかしいざ久しぶりに１人で夜を過ごすと不思議
な感覚に覆われる




この１年は常にレナと言う存在と共にあった・・



いや、そうでは無い・・



レナの存在によって自分が生きる意味、そして目的
を持つ事が出来ていたのだ




ギャンブルの世界では大きく金を稼げる、これは
間違い無い




・・だが社会的な己の存在概念を得る事は出来ない





人は自分の為だけに生きる事には限界がある・・
それを悟ったのはこの頃だったのかも知れない




やはり人は誰かの為に生きたり、誰かを守る為に
生きてこそアイデンティティを保てるもの・・




だから人は寄り添う・・孤独を怖がる・・




それがやがては家族を持ちたい、子供と共に生き
たい・・そのように繋がるのでは無いかと思う・・





レナと離れて物思いにふける夜・・自分も少し
はあれから成長したのだろうか・・




そして翌日、レナから連絡が入った・・




（続きは次回♪）

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