地元へと帰った僕は協力者の皆様にまずは平謝
りをして回りながら精力的にお店の立ち上げの
ために奔走していた・・。



そしてようやく自分が納得できる物件が見つか
り一つの光明が差した・・不動産屋を駆け巡る
事数百軒・・ようやくその苦労が報われたので
ある・・。



ただ１週間経ってもレナから一向に連絡が来な
いのはやや心配だったが・・それ以上に物件が
決まって急速に開店に向かって動き出した事が
嬉しくて僕は舞い上がっていた・・。



余談だが麻雀屋と言うのは１８歳未満は立ち入
り禁止で居酒屋やＢＡＲ等と同じ風俗営業に該
当する・・



よって物件を抑えてから営業許可申請を警察署
の生活安全課に提出し、それが受理されるまで
は営業が出来ないシステムになっているため、
その間は売り上げが出ないのに家賃だけは払わ
ないといけないと言う理不尽な作りになってい
る・・ちなみに受理されるのは最低でも２ヶ月、
これは是非とも改善して欲しい・・（汗）




そしてレナと別れて２週間・・まだ連絡は無い・・




その頃僕はお店の内装作りに入っていた、本来
であれば業者に頼む所だが・・お金が予想以上
にかかるため知り合いの大工さんと２人でコツ
コツと壁紙やカーペットを配置していた、今と
なっては良き思い出である・・。



そして数日後・・



内装も７割方終えてクタクタになっていつもの
ように帰宅する・・。



（レナさん・・まだ連絡は無いのか・・）



鳴らない携帯電話をいつものように確認しなが
ら留守を任されているレナの家へ向かった・・。



もうとっくに日は暮れ深夜になっている、辺り
を歩いている人もいない・・天下の東京と言え
ども場所によってはこのように寂しい所もある。



もう半月も経つので慣れたい所だが、どうして
もこの静かな雰囲気の中を一人で歩くのは馴染
めない・・。



どう例えれば良いのだろう・・何か木の間から
覗かれ続かれていると言うか、物陰から後を付
けられている気持ち悪い感じと言うか・・



風になびく木の葉の音さえ今は少し怖く感じる、
そういえば以前レナがこんな事を言っていた・・



「この辺りはひったくりとかとぅりまに会う事
　がぁるんだって・・社長に気を付けろって言
　われてるんだけど、カイちゃんが一緒だから
　平気だょね♪」




（通り魔か・・しまった、また余計な事を思い
　出したな、早く帰ろう・・）




そして足早にマンションに入ろうと思ったその
時だった・・




・・ダダダダ・・




後ろから急に人が接近した気配を感じ、振り向
こうと思ったのだが・・





・・ドン！！



「グッ・・！」




間に合わなかった・・




「うぅ・・」



背中に鈍痛が走る・・





ポタッ・・ポタッ・・




地面に落ちる雫の小さい音が・・僕の耳には・・
やけにはっきりと・・聞こえていた・・



（続きは次回♪）


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